種類別に見る鉄分不足のバリエーションと対処法

鉄分不足とは、血液中の赤血球濃度、ヘモグロビン濃度が基準値を下回った状態です。赤血球は、全身に酸素を運ぶ役割がありますが、赤血球の不足により体内の細胞は酸欠状態になります。このため、めまいや息切れなどの特有の症状が見られるようになります。鉄分不足には、原因によって幾つかの種類があり、対処法も異なります。ここでは、主な4種類の鉄分不足について、ご紹介しましょう。

◎鉄欠乏性鉄分不足

赤血球の中には、たくさんのヘモグロビンがあり、このヘモグロビンが酸素の運搬を担っています。
ヘモグロビンの合成に必要な鉄が足らなくなった場合に起きるのが、鉄欠乏性鉄分不足です。
ダイエットなどの食生活の乱れ、妊娠や授乳による鉄分の需要の増加、生理過多や腫瘍・ガンなどの消化器官の出血などが原因です。

対処法は、原因となる疾患がある場合は、その治療を優先します。鉄剤の内服で鉄分を補充しますが、少しずつしか吸収されないため、3ヶ月を目安に続ける必要があります。食事を見直して、規則正しく3食とります。栄養バランスも考え、赤血球やヘモグロビンの材料となるタンパク質を毎食とり、鉄分を多く含む食品、造血効果のあるビタミンCを含む食品も積極的にとります。

 

◎再生不良性鉄分不足

造血をする骨髄の機能が低下して起こります。大半のケースで、原因の特定ができません。
治療は、免疫抑制療法と骨髄移植のうち、いずれかを選びます。

 

◎巨赤芽球性鉄分不足

ビタミンB12と葉酸の不足が原因です。
ビタミンB12不足については、胃切除などで吸収に問題があることが原因なので、注射か点滴で定期的に補充します。
葉酸不足は、極端な偏食や飲酒が原因なので、経口投与で補充して生活習慣を見直します。

 

◎溶血性鉄分不足

赤血球が寿命より異常に早く壊れて、ヘモグロビンが流れ出してしまいます。
原因は、細菌感染や薬剤、アレルギーによるものもあります。副腎皮質ステロイド薬で9割が改善されます。