鉄分不足と診断されるのは血中ヘモグロビン濃度が低下している状態をさしています。
通常体内にはある程度の鉄が貯蔵されています。そのうち三分の二が血液の中に、残りが肝臓や脾臓などの臓器や一部皮膚や粘膜に存在しています。
本来、食事などによって補給される鉄分と体外に排泄されていく鉄分の量はバランスがとれていますが、このバランスが崩れ、鉄分が補給されなくなると体内の鉄を使用し始めます。このときはまだ血液検査の異常も鉄分不足の症状も出ていません。この状態が続き、体内に蓄えられた鉄分がなくなると鉄分不足の症状が現れてきます。
- 疲れやすくなる
- 目眩や立ちくらみ
はよく知られている鉄分不足の症状です。
外見上は
- 顔色が悪くなり
- 髪の毛のつやがなくなってきます
- 口角炎や口内炎などが出現する場合もあります
さらに自覚症状として、
動悸
息切れ
頭痛
耳鳴り
などという様々な症状が現れてきます。
あまりよく知られていませんが、鉄欠乏性鉄分不足の症状として、
- 氷やお煎餅などの硬いものを食べたくなったり
- 爪が反ってきたり
- 舌がつるつるになってくる
という症状が出ることがあります。
食道の粘膜が萎縮して
- 食べ物や飲み物が飲み込みにくくなる症状が出てくることもあります
尚、これらが緩やかに進行した場合、鉄分不足と気がつかない場合もあるので注意が必要です。
女性の場合は毎月の月経によって大量の鉄分が失われています。
従って、鉄分不足になりやすいだけでなく、その状態に身体が慣れてしまっていることも考えられます。例えば、単なる夏バテだと思っていたら鉄分不足が思いがけず進行していたということも考えられるのです。
鉄分不足の症状が出た時には、少しくらいは大丈夫だという自己判断は禁物です。鉄分不足は命の危険に関わる深刻な事態を招く可能性もあります。一刻も早く治療・改善に取り組みましょう。